乳房を切除した女性の術後の症状に鍼灸が効果ありというミネソタの研究
2017-02-10 海外での鍼灸
乳房切除手術後の痛み・吐き気・不安感
スタジオシュカの宮﨑です。
妊娠している乳がんの患者さんの大部分は乳房切除手術を受けます。
乳房切除手術とは、乳房を手術で取り除くことです。
種類が2つあって、1つは単純乳房切除術です。
2つ目は非定型的根治的乳房切除術です。
単純乳房切除術とは、がんに侵された方の乳房を全部取り除くことです。
生検用にわきの下のリンパ節も一部取られます。
非定型的根治的乳房切除術とは、がんに侵された方の乳房全体と多数のわきの下のリンパ節、胸部の筋肉を覆う組織、胸壁の筋肉を取る手術です。
しかし、がん細胞が残っている場合は、引き続き放射線療法、抗がん剤投与などが行われます。
治療は長期間を要するので、乳がん患者の精神的影響は懸念されます。
特に、小さい子供さんがいると母乳をあげられない精神的苦痛や、抗がん剤治療で髪が抜ける、味覚が鈍るなどの副作用が出てしまう、治療が長くがんのステージが4や3と大きいと5年生存率も低いため、生きられるかの不安があります。
そんなときはご家族と一緒に病棟でゆっくり過ごしたり、散歩で外に行ったり、看護婦さんやお医者さんにつらいことを打ち明けることが大事です。
看護婦さんやお医者さんは患者さんからつらいことを聞くと治療法の改善や先の見通しを丁寧に検討してくれます。
乳がん患者の精神的ストレスはとても大きいものです。
乳がんの術後の患者に鍼灸が効果があるという記事は今までに何度か取り上げてきましたが、今回は乳房切除手術後に鍼灸の治療を行うことで、痛み・吐き気・不安感を和らげるというミネソタの大学病院での研究をご紹介します。
この研究を行ったAbbott Northwestern Hospitalでは、救急外来に鍼灸を取り入れるなど、鍼灸を痛み止めとして積極的に治療に取り入れています。
ミネソタのAboott Northwestern Hospitalで行われ、Oncology Nursing Forum(がん看護ジャーナル)11月号に掲載された研究です。
研究は、痛み、吐き気、不安感をそれぞれ0から10のスケールで表し、鍼灸の治療前と治療後に評価が行われました。
乳房切除手術後に2回、12時間あけて鍼灸の治療を行いました。
結果は、痛み、吐き気、不安感のいずれもが、鍼灸の治療後に約1.5ポイント減少しました。
これは医学的にも統計学的にも大幅な減少と言えます。
ちなみに麻薬系鎮痛剤であるオピオイドを使った場合は痛みの減少は1.9ポイントであり、鍼灸が痛みに対してほぼ同等の効果があるといえるでしょう。
引用:EurekAlert 2016年11月30日
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/ah-aim113016.php