鍼灸師。学生時代に鍼灸とともに栄養学も学ぶ。2021年4月からスタジオシュカにて勤務

-相手の動きに合わせてタイミングよくスッとお茶を出し、柔らかく相槌を打つ姿が特徴的な染谷先生。物怖じしないとても落ち着いた雰囲気の22歳(2021年10月現在)。インタビュー中もまっすぐ相手を見据えてゆっくりと話す姿から、強い意志が伝わる。









■母の影響で鍼灸師の道へ

-鍼灸師になったきっかけは?

母がプロのハンドボール選手だったんです。その影響もあり、最初はトレーナーを志して鍼灸の道に進みました。

母からは「人としての在り方」を小さいときから教えこまれ、人として尊敬しています。
「挨拶」「当たり前のことに感謝する」「謙虚であること」
この教えは今でも大切にしています。

それもあってか、自分でも行動力もあり積極的なタイプと思います。挨拶や基本的なこともしっかりしてた方かな、と。
率先してチャレンジし、バスケットやチアリーディングなど多くの現場でスポーツトレーナー経験を積むことができました。

母の教えにはとても感謝しています。

 

■痛みだけではなく全身を、そして人を診れる鍼灸師になりたい

-当初はスポーツトレーナーを目指してキャリアを積んでいた染谷先生。不妊治療とは結びつかない気しますが、スタジオシュカで働くきっかけはなんだったのか?

トレーナーの現場では、痛みのみにフォーカスすることが多いです。
それは重要なことですが、反面「良くなる」という点で疑問も感じていました。

例えば、肩が痛くても実は足が原因だった、ということがあります。
もともと鍼灸は、全身を診ることで良くしていく治療。
鍼灸を通じて、痛みだけではなく全身を、そしてその人そのものを診られるようになりたいんです。
それが叶う場所が、スタジオシュカだと感じています。

 

-妊活・不妊鍼灸を志した理由は?

私のいとこの子どもが下半身不随を患っていたことなどから「自分が何かできなかったか」と考える機会が多かったからなのかな。
子どもと、その親御さん、というところに思い入れがありました。

私自身、不妊に悩んだ経験があるわけではないですが「不妊には東洋医学が効果的だ」と過去に聞いた話がとても印象に残っていて。

 

-お母さまとの関係性、いとこのお子さんのお話。染谷先生は「母親」の存在や「子ども」の存在を大切にしているように思える。

まず、『命が産まれる』というのはとても神秘的なことだと思っています。本当に素晴らしい出来事。
鍼灸師の場合、病院での治療とは異なり、時間をかけて患者様と向き合うこともできる。鍼灸師にしかできない携わり方。そこにとてもやりがいを感じています。

 

-不妊の現場では、様々な想いや悩みを抱える患者様が来院する。患者様にどう向き合い、どう接するのか?

正直、すごく難しくて。どう接するのがいいかと悩むときもあります。

スタジオシュカに来る方たちは、皆さん心の底から子供が欲しいと頑張ってます。その姿が垣間見えた時に、どういう言葉をかけていいのか。
「頑張って」は違うかな、とか、それでもそれしか見つからないときもあって。
皆さん、本当に悩んでいますよね。それなので答えは見つかっていないですし、今後も見つからないのかもしれません。

だからこそ、それ以外の言葉や接客で少しでも「心地いい空間」を作れるよう心がけています。
特にしっかりお話を聴いて共感する、ことを一番大切にしています。患者さんが少しでも気持ちが和らげば嬉しいです。

心が人に与える影響は計り知れないと思うんです。

自分自身、学生時代は人間関係が上手くいかない時期がありました。
今は元気ですが、当時は落ち込み、毎週のように40度の高熱が出ました。

学校に行きたくなくて涙が止まらなかったり。

そういう時って、色々なことが上手くいかなくなって。
鍼灸院に来られる患者さんにも、同じような感情があったりするのかもしれません。
そんな経験があるので、不妊に関わらず『人の痛みが分かる』『人の気持ちが分かる』自分でありたいと思っています。

私、よく患者様の外見などを褒めることがありますが、お世辞で言っているわけではないんです。目に見える部分でしか気づけないかもしれない。それでも自分が本当に「いいな」と思える変化を見つけて、伝えていきたいと考えているんです。

そうやって私の方から気にけていくと、患者様が「紙には書いていない」悩みや本音を話してくれる時があります。
ただでさえ不妊の悩みは深いので、少しでも本音を伝えてもらえるよう、私たちが努力する必要があると思います。

より安心していただくには基本的なことを理解できていることが必要です。
日々勉強し、それだけではなく、お悩みをお持ちの方のために様々なメディアで発信しています。

■新しい気持ちに生まれ変われる場所

-今後、鍼灸師としてどうありたい?

「次会うのが楽しみ」「会えてよかった」と思ってもらえる鍼灸師でありたいです。だからこそ、施術以外の時間も大切にしています。

施術以外でも、迎えたりお見送りする時間も、患者さんとの大切な時間。

もちろん、施術で治したい気持ちを強く持っていますが「施術をするだけ」なら、勉強すれば誰でもできること。
それ以上の価値が感じられる場所を提供していきたいです。

そして、私と過ごす時間が、安心で楽しく、幸せな瞬間になってほしいです。
スタジオシュカを選んでくださった患者さんが、新しい気持ちに生まれ変われる場所。そんな場所にしていきたいです。