大学で鍼灸師の資格を取得後、大学院にて鍼灸を研究。その見識を深める。

-副院長として、最も多くの患者様と向き合う毎日にあっても、日々成長するための努力を怠らない田﨑先生。鍼灸師として、働く場所や専門分野、多くの面で様々な経験を積まれた先生にお話を伺った。

■歯学部を目指していた道から鍼灸師への転身

-なんで鍼灸師になったのか?

もともと歯学部への進学を目指し、予備校に通っていたんです。その予備校の友達が交通事故にあってしまって。

後遺症で便が出なくなって入退院を繰り返していたんですね。
医師に「病院では治らないから鍼灸を試しては?」と提案をされたそうなのですが、鍼を試したら一回でお通じが出るようになった、と聞いてびっくりして。

私自身は、その時初めて鍼灸を知ったのですが、東洋医学ってすごい!と感じたんです。「友達が元気になってよかった!」という想いも強く、歯科医の道を辞めて鍼灸の道に進みました。

 

-友人がきっかけで鍼灸師を目指した心優しい田崎先生。鍼灸師では稀な大学院での学びについて伺った。

大学院時代は、鍼灸の資格を持ちながら各専門病棟で患者さんを診ていました。
外科病棟に入った時「がん」の患者さんを診る機会がありました。

その中に、お子さんが2人いる40歳の胃がんの女性患者さんがいました。

毎日のように鍼灸をしながら経過を診る貴重な体験をしました。
その中で、鍼をしても、がん自体がよくなるわけではないという現実に直面しました。
「治したい」という想いが強い分、「もう治らない」と分かっているのに鍼をするのは辛かったです。

体調や個別の症状に関しては、ガン患者さんでも良くなった例もたくさんあります。
たとえば浮腫のような、薬の副作用や闘病の中で出る様々な症状やお困りごと。

患者さんの浮腫が、一回の鍼灸治療で明らかに改善していた、ということが実際に起きるんです。
それこそ象のような足が、きれいに見えるくらいまで。
ガンは治っていない。それでも、すごく喜ばれた。

生きている間、良い時も悪い時もあって。
治す、だけではなく、症状をできるだけ悪い方に進ませないことも重要だ、と感じました。

 

-田崎先生の出身は新潟。その後京都の大学と大学院、大阪の治療院を経て、埼玉の不妊鍼灸院。現在は千葉のスタジオシュカと横浜のはりん。多くの場所で豊富な経験を積んでいる。

『がん患者さん』の助けになりたいという想いから、そういう鍼灸院を探していたんです。
ただ、実際のところなかなかないんですよね。そこでニーズが多い高齢者の治療から始めたんです。

大阪時代は老人ホームを回っていました。
その時に、お子さんがいない方は面会に来てくれる人が少ないことに気づきました。

高齢の方の時代は、不妊治療が認知されておらず、
子どもを産めなかったことへの罪悪感を感じている女性が何人かいらっしゃいました。
ぽつりと「子どもがいればよかったわね」ということを漏らすような方もいらっしゃって。

もちろん子供を産むことがが全てではないです。
ただ、今後「産めなかった」ことを後悔をする方が増えていくと思ったんです。
そんな中で、不妊に対する勉強を始めました。

がん患者様に対する鍼灸治療という点でも、不妊では、婦人科系のガンなども関連するので、それもきっかけの一つかもしれませんね。









■不妊治療との出会い、スタジオシュカとの出会い

-専門分野を持つ田崎先生が、スタジオシュカで働く理由は

埼玉の鍼灸院で働いていた時に、代表の宮崎の著書を読んだんです。
それが私にはとても魅力的で、納得ができるものでした。

スタジオシュカ、はりんで行っている不妊鍼灸は、その本の内容がそのまま形になったものなんですね。
代表の宮崎は鍼灸師ですが、本の内容は決して「鍼灸がいいよ!」というだけの本ではなくて「自力で改善していくための方法」が書いてある本でした。

スタジオシュカ、はりんは「遠くにいる人でも、鍼灸を受けられなくても、やるべきことを実行すれば、妊娠体質になることはできる」ということを提言している鍼灸院なんです。
本を読んでいると極端な話「本当に鍼灸いるのかな?」と思うような内容で(笑)

この本を読んでいた時の私は、鍼灸について大学、大学院と深く学んできたこともあり、「鍼の力でどうにかしなきゃ」という思い込みがあった時期で。
改善させるという目的のために『鍼に限らず、効果的なことをおこなっていく』という著書の内容は、考え方を変える大きなきっかけになりました。。

実際に、鍼灸以外の部分、例えばカウンセリングや生活指導などをとても大切にしている鍼灸院なんです。
私もかなり生活指導しっかりやっている方だと思いますよ!
患者さんは、鍼灸院に任せるのではなく、自分でがんばる。
そして私たちは、「鍼で良くしよう」ではなくサポートに回る。
その形を取れれば、妊活って結構長期なイメージがあるんですが、それがぎゅっと短縮できる。
鍼灸の素晴らしさって、そういうところにあるのかなって。

不妊治療も西洋医学を頼る人、頼らざるを得ない人はたくさんいらっしゃいます。
でも、不安や焦りから、何かしたいと思って鍼灸を試される。
そんな中で、鍼灸で結果が出なかったときに一概に「鍼灸やっても意味ない」となるのは悲しいなと思っています。
西洋医学にも限界があるように、鍼灸だけでは難しい、限界があると感じる部分も正直あります。

そうなると、一番重要なのは、結局患者さん自身が自分を変えていこうとすることなんです。
シュカのやり方はそういう考えにとても合っています。
「鍼灸のおかげで妊娠した」ではなく、私たちは強力なサポートの一つであり、鍼灸院はあくまで効果的に妊娠への道のりを目指す場所、学びやきっかけを得る場所という風に捉えています。

「鍼だけでなんとかしよう、なんとかしなくちゃ」と思っていた過去の感覚からは、私自身も大きく変化した部分ですね。

 

-ご自身も30代という、結婚や出産、不妊、そういった女性のライフステージが大きく変化したり、様々なステージ、想いを抱えた方が入り混じる世代にいらっしゃる田崎先生。患者様と向き合う時に心がけていることはあるのか。

働く場所もそうですし、鍼灸師としての活動もそうなのですが、自分でもここまで色々な経験をしてきたなぁ、という気はしているんですね(笑)
ただ、20代の先生たちよりはプライベートで周囲から聞こえてくる話も含め、色々経験しているって言ってもいいのかもしれません。

確かに患者さんの中には「同年代で分かってくれてる」という感覚になってくださって、涙を見せてくださる、そこまで話してくださる患者さんもいらっしゃるんです。

それでも私は不妊治療は経験していない。
だからいくら知識を入れたとしても、想像するしかできない部分もあるんです。
「自分自身が経験しないと分からないことってたくさんある」ということ自体を今までの経験から学んできているので、そこは肝に命じて、患者さんの話はよく聞くように心がけています。
もちろん自分が経験していなくても、寄り添えるようにする努力はしています。
ただひたすら聞くに徹する。今はそれができることだと思っています。

 

-ご自身が働くシュカ、はりんはどういう人にオススメか

鍼灸で悩みが解決できるかもしれない、と可能性を感じてくださった人には、とりあえずすぐ!来てほしいです(笑)
鍼灸は、知名度もまだまだ低いですし、妊活の鍼灸治療も、やっと最近SNSなどで、「不妊体質の改善に効果的な鍼があるみたいだよ」みたいな投稿を見たという方が増えてきたところ。
鍼灸自体を知らない方も多いし、知ってる方にとっても、もうなんか、「最後の砦」感がある。
でも、来ちゃった方が早いんじゃない?(笑)って思っています。
気楽にこられる場所になってくれると嬉しいですね。
シュカ、はりんは、初回のカウンセリングが施術合わせて2時間くらい。
…そう考えると、気楽には来にくいかもしれないですが(笑)
鍼灸を受けても、治るか治らないか分からない。という不安がある人はいると思う。
そんな方が、はりんのカウンセリングを受けて、すごく納得して帰られるということもとても多いんです。
昔は鍼灸治療でなんとかしたい、という気持ちが大きかったけど、今はそういったカウンセリングの中でその人の人生を豊かにすることもできるのかな、と。

自分の悩みに鍼灸が効果あるのか分からないという方、そんな方でも、まずは来て頂いて、カウンセリングを受けていただいて。

可能性の一つとして鍼灸を選べるようになって、
鍼灸が効果があるないに関わらず、鍼灸について知って頂ける機会が増える。
そんな感じで鍼灸に触れていただける人が増えていくと嬉しいです。

 

-鍼灸の素晴らしさと鍼灸の限界。田崎先生からは、それらを経験してきたからこそ分かる、鍼灸の魅力を聞くことができた。